工房ではこれから作る予定の織物のための下準備をしています。
もともと特徴のある糸が好きなので、どうしても使いにくそうな糸が集まってきてしまいます。使える状態にするまでに手間がかかってしまう糸のことです。考えてみると買ったままの状態で使えるような糸ってあまりないかもしれません。
左は手紡ぎのヘンプ、右はインドカディです。
今度、店頭に下げている日除けの布をのれんとして使いたいという方がいらっしゃるので、ヘンプ糸を取り寄せました。
この糸、カセにはなっているのですがそれがアジアの糸にありがちの160cmほどの大きなカセで、持っているカセ上げ機にも入る物がなくて困っていました。普通はそんな時にも使える「たたり」という道具があるのですが、あいにく持っていないので困っていました。
工房の中を見回して何か使える道具はないかと探してみたら、こんな身近にありました。
クマクラX機の間長を外すとXの末端の左右のホゾのある部分にこのカセがぴったりと入ります。そしてこの斜めになった角度のおかげで節の多い絡まりやすい糸なんですが、抜けることなくうまく引き出せます。こちらはスタッフのmamiちゃんにお願いしました。
織り幅が60cmのこのX機だけで使える裏技かもしれませんが、お待ちの方がいたらお役に立つかも?
私の方はインドカディを使えるようにするために糸の面倒を見ています。
カシミヤと合わせて使おうかとずっと考えていたのですが、この面倒な作業がネックでなかなか進みませんでした。この機会に手を付けることにしました。
こちらのカディは上のヘンプとは逆でカセが小さいのですが、手持ちの道具でなんとか対応できました。
とても細く繊細に紡がれている糸で、紡ぎ手によるバラツキも多くて、巻いているとスッと抜けてしまうことが度々あります。抜けてしまうと糸口を見失ってしまうので、一度きちんと綛上げしておかないと後で大変なことになります。
この糸はこれから染める予定。
1人だとなかなかやる気にならないのですが、mamiちゃんと2人並んでやっているとなかなか楽しいです。意外とはまってしまう作業でもあります。
こんな面倒な糸仕事も度々あるこの仕事ですが、これがまた大変なんですけど、楽しいんですよね。